２０１３年の幕が明けました！
皆さま、年初めのスタート月である１月も残りわずかとなりましたが、
いかがお過ごしでしょうか。

新たな年を迎えるにあたって決意したこと、
実行に移せていますでしょうか？

「日々是新」―何かしら「新たなチャレンジ」をスタートさせていますでしょうか？

昨年末の政権交代の影響もあり、２０１３年の年始は経済面では
プラス材料が目立つ状態でスタートしたように感じます。
しかしながら、日本が抱える本質的課題は何ら変わってはいません。
いい意味で危機感を持ち、自らの手足で、それぞれの現場で、
「問題の根幹」に挑んでいきましょう。

２０１３年を素晴らしい年とするために。自分ができることから、今、この瞬間から。

さて、２０１３年のスタート月である今月のキーワードは、
『而今（じこん）』
をお送りしたいと思います。　　
「而今」とは、道元禅師が中国での修行時代に悟った世界観。
意味は、「ただ、今、この一瞬」　道元禅師は悟ります―
「他は是我にあらず」 あてに出来るかどうかわからない他人・・・
「さらにいずれの時をか待たん」 来るか来ぬかわからない未来・・・
確信の持てるのは、「今、自分が生きているこの一瞬だけ」である。

私たちは、上手くいかない現状を過去や他人のせいであると悔やみ、
先が見えぬ未来に不安感を抱くことが多い。しかし、過去や他人を責め立てても、
まだ来ていない未来に不安を抱きグズグズしても、事態は何も変わらない。

ならば、物事の本質(目的)を見据えた上で、「今、この瞬間」の自身の言動に
集中し、心を向けて懸命に取り組むことこそ、
事態を好転させる唯一の方法なのだ。

この言葉は、懇親の席で友人から教えてもらった言葉で、
実は、三重県の純米酒の銘柄です。
「而今」は本当に美味しい日本酒なのですが、
その魅力は味わいに留まりませんでした。
「而今」の言葉の意味を、友人とお店の方から聴かせてもらい、
何とも心が熱くなりました。

振り返ってみれば、10年前の私は過去に囚われ、
未来を案じることをエネルギーにし、無理やり毎日を頑張っていたような気がします。
上司・同僚・友人からも、「なぜ石月はそんなに頑張るのか、　
もう少し肩の力を抜いてもいいのでは？」とよく言われていたことを思い出しました。

目先の業績を出すために少々無理な提案を行い、
本当に必要かどうかもあまり考えずに「出せ」と言われれば
マネジメント資料を徹夜して作成し、相談や依頼があれば内容も確認せずに
取りあえず話を聞く時間を無理してでも捻出する・・・。
これはこれである部分では力になったけれど、
「今、生きてる、この瞬間」に集中し、心を向け、
自分に本当に必要なこと（大切なこと）を行っていたかというと、
そうではなかったと感じます。

「未来のために、今は辛くても仕方がない。世の中そんなもんだ」　
いつのまにか、こんな考え方で自分を納得させていた気がします。
未来は、「今」の連続体でしかないのに。

【道元禅師 「而今」の教え】

今、自分自身をより良く生かすこと。
今、私がなさなければめぐり合うべき真実の何もありません。

この世の全てのものはみな変化しています。
生きとし生けるものの変わり方は特に早く、
人の命など朝露の日に照らされて消えるが如くであります。
変わらぬと思い込んでいる故郷の山や川でさえ、悠久の時の流れの中にある、
まさにこの世は無常です。
人はこの無情なる事に気づくとき、初めて命のはかないことを深く思い、
かけがえのないこの命を慈しむ心がうまれる。

『仏道を学ぶ人は、後日に修行しようなどと考えてはいけません。
今日、このときをぼんやりと過ごさず、その日その日、
その時、その時を勤めなければならない。』
過ぎ去った日の自分を振り返ってみて、わが人生に悔い無しと、言い切れるでしょうか。

「而今」―
未来のありたい姿のイメージ、目指したいビジョンは持っていていい。
しかし、忘れてはならないのは未来のために「今」を犠牲にするのではなく、
「今、この瞬間」を大切にすること、本当に重要なことに時間を使うこと。

皆さんは、「今、生きている、この瞬間」を大切にしていますか？
味わっていますか？
自分にとって本当に重要なことに意識を向けていますか？
それらを先送りにしていませんか？