―当時は分からなかったが、
Ａｐｐｌｅ社に解雇されたことは、
私の人生で起こった最良の出来事だったと後に分かった。
成功者であることの重さが、
再び創始者になることの身軽さに置き換わったのだ。
何事につけても不確かさは増したが、
私は解放され、人生の中で最も創造的な時期を迎えた。

―あなたの時間は限られている。
だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。
ドグマ（教義、常識、既存の理論）にとらわれるな。
それは他人の考えた結果で生きていることなのだから。
他人の意見が雑音のように、あなたの「内面の声」をかき消さないようにしなさい。
そして、最も重要なのは、自分の「心と直感」を信じる勇気を持つことです。
それはどういう訳か、あなたが本当になりたいものを既によく知っているのだから。
それ以外のことは、全部二の次の意味しかないのだ。

―Keep Looking, Don't Settle.
―Stay Hungry, Stay Foolish

2011年10月5日早朝、世界に革命的イノベーションをもたらした
偉大なリーダー、スティーブ・ジョブズ氏が56歳という若さで旅立たれました。
上記は、同氏が2005年にスタンフォード大学の卒業式でスピーチした一節です。
有名なスピーチ（以前に私からも配信させていただきました）ですし、
ここ数日は多くのメディアで取り上げられているので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
スティーブ・ジョブズ氏は、私にとっても非常に大きな影響をもたらしてくれた方でした。
生み出した製品の美しさや細部へのこだわりは
もちろん感動を覚えるのですが（私もiphoneユーザーです）、
一番心を揺さぶられたのは、
やはり同氏の物事の捉え方・感じ方、そして生き方そのものでした。

私がスティーブ・ジョブズ氏のことを知った（聞いたことがあるレベルでなく）のは、
そんなに昔のことではありません。
現在の教育、コンサルティング事業に携わるようになって暫くですから、 8年前ほどでしょうか。同氏がＡｐｐｌｅ社に復帰して、立て直しに成功し、取り立たされていたころです。
大学を中退、ガレージからＡｐｐｌｅ社を起業して
世界初のパーソナルコンピューターを創り出し、成功するも
自分の起こした会社から追放され、それでもまたＰｉｘaｒ社など新しい会社を起業し続け、
その後、なんと身売り寸前の苦境に立ってしまっていたＡｐｐｌｅ社に
復帰して再生を実現させる…。
その劇的な人生を知れば知るほど、
何故、こう何度も立ち上がれるのか、新たなものを創発できるのか、
走り続けるバイタリティーの源泉は何処にあるのか…
とにかく大きな衝撃を受けたのを憶えています。
そして、2005年のスタンフォード大学のスピーチと出逢い、
その「真意」を知った時、私は自分の生き方や価値観を
大きく変える―正確に言えば、確信を得る―こととなりました。

同氏の死は、世界全体に大きな「哀しみ」をもたらしましたが、
彼が残した数多くのメッセージ、商品、可能性は
これからも私たちの心や行動の中に生き続け、
また新たな「価値」を生み出し、より良き未来を創っていくことと思います。
私も、彼から受けた影響を仕事の中や日々の生活の中で
活かし続けていこうと考えています。

さて、そのような想いを込め、今月は、
『感奮興起（かんぷんこうき）』
という言葉をお届けいたします。　　
―心に強く感じて奮い立ち、勢いが盛んになること。
「感奮」は心に強く感じて奮い立つことを意味し、
「興起」は勢いが盛んになることを意味する。
“常に何かを感じ、惰性に流されることなく、奮い立って行動する”
という意味であり、「創発」と「成長」に欠かせない資質である。

みなさんは今、情熱を傾けている「何か」がありますか？
最近、新しい「何か」にチャレンジしたり、生み出したりしたでしょうか？

スティーブ・ジョブズ氏の言葉がこの言葉とシンクロします。
―Keep Looking, Don't Settle. Stay Hungry, Stay Foolish！―
本当に自分が情熱を傾けられる「何か」を探し続けよう、
ワクワクする「未来」を探し続けよう、
自分の新たな可能性を探し続けよう、
「こんなもんだろ」と安易に妥協せず、 そして諦めずに。
常に貪欲であれ、常に突き進む勇気を持て！
周りから「無茶だな」「馬鹿か」と思われるぐらいで丁度いい。
常識にとらわれず、自分の感じるままに思いっきり行動し続けよう！
なんとなく先が見えず、閉塞感が漂う状況ですが、だからこそ自分の心を感じ、奮い立たせ、
力強く前に進んでいこうではありませんか。素晴らしい「今」と「未来」を創るために。