東日本大震災の発生から早いもので、半年が経過しました。
先日、わずか1日ではありましたが、宮城県にボランティアに行ってきました。
現地の状況を目の当たりにし、復興への道のりは、
未だ一歩を踏み出した状態であることを改めて感じました。
今こそ、復興支援のスピードを加速させ、
被災された皆様の実質的な力となるべきだと、
本当に、強く感じる次第です。
さて、今月は上記のような想いを込めて、
『知行合一(ちこうごういつ)』
という言葉をご紹介いたします。
―「知って行なわざるは、未だこれ知らざるなり」
「知」とは「知ること」即ち知識を得ること、学ぶことを意味し、
「行(こう)」とは「行なうこと」即ち行動することを意味する。
「知は行の始め、行は知の成るなり。知行は分かちて両事と作(な)すべからず」、
分かり易く言えば、
「いくら知識があっても、その知識が行動に伴なわなければ
何の意味もなさない」ということである。
この言葉はご存知の方、ご自身の信条にされておられる方も多いのではないでしょうか。
この『知行合一』は、中国の哲学である「陽明学」の命題の一つです。
「陽明学」は、大塩平八郎、佐久間象山、河井継之助、吉田松陰、
西郷隆盛、高杉晋作、山形有朋、安岡正篤など、
日本の歴史上の英傑たちも大きな影響を受けたとされています。
私もこの言葉には感銘を受け、常に念頭にあり、自分に問いかけ続けています。
「知行合一。本当の意味で、自分は知ることができているか?」
「知る」とは「行動」を伴うこと。つまりは、自分は知ったことを、実践できているのかと…。
教育、コンサルティングを仕事としている私にとって、
この『知行合一』は本質的かつ永遠のテーマです。
例えば研修の最後に、「本日の内容は理解できましたでしょうか?」と問いかけると、
多くの受講生が「概ね理解できた」と答えます。
しかし後日、「研修で理解したことについて、具体的な行動を起こしましたか?」
と問いかけると、
「意識はしているが、具体的な行動はしていない」「そもそも内容を忘れていた」
といった答えが圧倒的に多くなります。
「知って、気づいたこと」を行動につなげていくことは非常に難しいのです。
『知行合一』の状態は、どうすれば創ることができるのでしょう?
『知行合一』できている人はどのようなことを心がけているのでしょう?
これまで経験の中で、次のようなことが共通事項ではないかと感じています。
・ 対象となる知識・見識に対して深い気づきがある(=共感し、共鳴する)
・ 真剣に考え続けている(想い続けている)何か…目標や志、悩みをもっている
・ 知識・見識を学ぶ際に、実際の行動を同時にイメージしている
・ 自分を行動へとかきたてる「環境」を自らつくっている
・ 行動力のある人に関わる機会を多くもっている
皆さんはいかがでしょうかか? 『知行合一』できていますでしょうか?
新たな知識・見識に触れ、気づき、実際に動いて、感じて、その結果をしっかり振り返る…。
このシンプルなプロセスこそ、最も効果的で本質的な「学びのプロセス」なのでしょう。
昔から、「見たり、聞いたり、試したり」という言葉がある。
私はこの中で最後の「試したり」が一番大切だと思っている。
「為すことによって学ぶ」という実践的勉強法が、一番力になり、身についた。
―本田宗一郎
知識をつけることは、行動することの始まりであり、行動することは、
つけた知識を完成させることである。行なわなければ、知っているとは言えない。
知っていても行なわないのは、まだ知らないのと同じである。
知って行なってこそ本当の知恵、真知である。
―吉田松陰
『知行合一』の状態となることを一人ひとりが意識していくことは、復興への道のりも、蔓延する社会不安も、停滞する経済も、様々な課題を解決する糸口となる、私はそう確信しています。
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