10月も下旬になり、真っ青な空が眩しい、
秋晴れの日に出逢えるようになりました。

少し肌寒さを感じながら、気持ちの良い青空を見上げるとき、
何やら体の奥底から元気と勇気が湧いてきます。
何か良いことがありそうだ・・・という、全く根拠のない想いも一緒に。

ただ青空を見上げ、深呼吸しただけなのに、本当に不思議です。

改めて自分も自然の一部であることを感じると共に、支えられ、
生かされているのだという、
深い感謝の気持ちが込み上げてきました。

「爽やかで眩しい秋の青空」―こんな仕事を、私もしていきたいと感じました。

さて、今月お届けする言葉は、難局にあるとき想い出したい言葉、
『雲外蒼天(うんがいそうてん)』
をお送りしたいと思います。　　

―「雲外に蒼天あり」
厳しい状況においても、転じて諦めず、努力し続ければ、
必ず素晴らしい結果が待っている。絶望してはいけないという意。

「寒梅大輪」―梅は、寒さが厳しいほど大きく美しい花を咲かせるように、
人もまた、辛い困難に勇気を持って立ち向かい、努力し続けることで、
人間的な深み、魅力を身にまとうことができるのではないだろうか。

辛い困難を乗り越える確証がない･･･
そんなときこそ、それに立ち向かう
自分を信じて、ただ、「今」を懸命に進むことが大切なのだ。

これまで皆さんも数多くの試練、困難にめぐり逢ってきた（もしくは直面している）ことでしょう。
困難に立ち向い、何とか克服した経験もあれば、
耐え切れずに逃げたこともあるのでは･･･。

「人生は果てしなく続く峠のようなものだ」と言われるように、
一つの困難を克服したかと思えば、また次の試練が現れたりして、
ともかくなかなか自分が思い描くように進まないことが多いものです。

しかし、ふとそうした過去の経験や現在の苦境に心を向けてみると、
全ての経験が今の自分を創ってきたかけがえのない貴重な「糧」であり、
「未来の選択肢」を明らかにしてくれる、
道しるべのような存在ではないだろうか・・・とも感じます。

振り返れば、私も困難から逃げたいともがいた「貴重な経験」があります。

前職のコンサルティング会社に転職して3ヶ月目。
まだコンサルティング業務とは何かさえ全く理解していない時期に、
あるクライアントへ課題解決提案を任されました。
連日徹夜で資料を作成し、先輩に指導（レビュー）を受けるものの、
ダメだしの連続･･･という日々が1ヶ月以上続きました。

「メンタル的にはタフ」という自負のあった私も、ある日、とうとう出社ができなくなります。

出社しようとすると吐き気がひどく、どうにも動けなくなるのです。
出社できずにむかえた4日目の朝、
「もう限界だ・・・。辞めよう」と決意し、当時の上司にその旨を伝えました。

その時、上司は私の話を黙って聴いてくれた上で、
抱えている業務を今の半分以下にすることと、
今逃げるように辞めるよりも、
一歩づつでいいからチャレンジすることの大切さを諭してくれました。

上司（今も恩師と慕っています）の暖かい言葉に感動し、
私は踏みとどまり、直面している困難と向き合う覚悟を決めました。

不思議なことに、覚悟を決めて事に当たると、
その瞬間から全てが上手く回り始めたのです。

そして、それからわずか半年でプロジェクトリーダーに、
その一年後にはマネージャーに昇進･･･という結果が待っていました。
この「貴重な経験」は、今も私の「己を信じる源」となっています。

目の前に起きる試練は、全てあなたのためにある―。
その試練に素直に向き合うことこそ本質。

皆さんは困難に、試練に、向き合えていますでしょうか？

『逆境におかれると、脳は自分の欠点さえも長所に変えて乗り越えようとする。』　
〜　茂木健一郎

『わからない人生を、わかったつもりで歩むことほど危険なことはない。
わからない世の中を、みんなに教えられ、みんなに手を引かれつつ、一歩一歩
踏みしめて行くことである。謙虚に、そして真剣に。』　　　　　　　　　　　
〜　松下幸之助

「雲外蒼天」―想像してみよう、その困難を乗り切った先にある素晴らしい情景を。
会いにいこう、試練を乗り越えて成長した自分に。一歩づつ、自分を信じて。