暖かな日差しと少しばかり強い風―「春」がやってきました。
昨年は東日本大震災直後で、
「春」という季節を感じることもできなかったように思います。
爽やかで、生命が動き出すエネルギーを感じるこの季節。
せっかくなので、今一度心を新たに、
「大切な何か」にまっすぐ挑戦していきたいものです。
まだまだ道半ばの「復興」のためにも、日本そのものの「復活」のためにも。
さて、今月の言葉は、新たなチャレンジにむけて大切な視点、
『温故知新』
をお送りしたいと思います。
―歴史や先人のやったことを調べ、学ぶことによって、新しい方針を創ること。
自分で習得したことを今一度学び直し、
新たな気づきと行動につなげること。
「温故」とは、歴史や過去の成功・失敗例を知り、その中から大切な本質を掴む
こと(=温める)。過去のしきたりや考え方に固執するという意味ではない。
「知新」とは、得た知識・見識を新たな取り組みに活かすこと。
大きな問題にぶち当たったとき、新たな挑戦を始めるとき、
闇雲に行動する
のではなく、歴史や過去の事例を深く学び直すことで、
新たな突破口を見い
だせることがある。
出典は「論語・為政」で、
「故きを温(たず)ねて新しきを知らば、以って師と為るべし」です。
皆様もこれまでに一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。
私は、この言葉は、そもそも私たちが生きていく為の基礎となる考え方であると考えます。
当たり前ですが、日々の生活も、仕事も、先人たちが生み出し、
紡いできてくれたかけがえのない知識・見識があるからこそ成り立つものです。
また、過去に生み出された知識・見識とその歴史(成り立ち)を深く学び、
それらの「真意」を掴み、活かすことが教育の本来の姿であると思うのです。
しかし、残念ながら今の日本は「温故知新」が不十分…と感じざるを得ない状況が散見されます。東日本大震災と原発への対応、社会保障の問題、沖縄基地・北方領土問題、失われた20年と揶揄される経済停滞、茶番劇を繰り返す政治…少し考えただけでも、歴史や過去の経験を真剣に学び、新たな方針を生み出せている(教訓を活かしている)とは考えにくい状態です。
こんな批判をしている私自身も人のことは言えず、全く不十分であると感じています。
そもそも日本という国はどのようにして成ったのか、
その国造りの過程において、
どのような偉人たちがどんな精神、志向、行動によって今の社会を創造してきたのか。
自分の国、日本の歴史観ですら怪しい状況です。
皆さんはいかがでしょうか?
自分の仕事、という身近な視点でも同じです。
今従事している仕事も、何かしらの背景、理由、歴史があって生まれたもののはず。
その仕事の歴史を知り、大きな成果を成し得た先人を見つけ、
その人を研究することで、カベを突き抜け、
大きく飛躍するための「新たなヒント」を得ることができるかもしれません。
『無知を恐れてはいけない。
それよりもいつわりの知識を恐れよ。』 −パスカル
『人類は進歩していますか?
縄文土器を見ても、ラスコーの壁画を見ても、現代の人間があんなの作れますか?
技術や生産の面では進歩しているかもしれない。
だが人間としては、むしろ退歩していると言っていい。
調和も、みんな相手の様子を見て、お互いに六分ぐらいのところで頭を下げあって、
馴れ合うのが調和だと思っている。 そんな調和は卑しい。
フェアに己を主張し、ぱんぱんとぶつかりあって、徹底的に闘って、
その結果、互いを認めあったところに成り立つ均衡なら許せるけど、
いま普通に考えられている調和なんて、ぼくは大反対だ。』
―岡本太郎
「温故知新」―混沌としている状況だからこそ、
「歴史と先人」を真剣に学んでみる。
単に真似するのではなく、活かして新たなものを創造し、実践する。
さあ、改めて一緒に始めましょう!
皆さんは、自分の仕事の歴史、成功・失敗事例を学んでいますか?
その真意を掴んでいますか?
過去の経験や慣習に固執するのではなく、
それらを活かして新たなチャレンジ、できてますか? |